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「国際貢献のウソ」

 今回は最近読んだ本を紹介します。  伊勢崎賢治さんという方が書かれた、「国際貢献のウソ」という本です。 これはTBSラジオの「Dig」という番組で紹介されました。  この本にはその題名の通り、一般的に考えられている国際NGOや海外ボランティアのイメージからかけ離れた実態や、本来それらがどうあるべきかという事、また、政府が拠出するODAや海外における自衛隊の活動の在り方という事に至るまで書かれています。  国際NGO職員や国連や外務省の一員として、アフリカの発展途上国や東チモール、アフガニスタン等、紛争や内戦の絶えない国々で、その国の復興や基盤作り、また国内の武装勢力の和平交渉まで行った人にしか書けない様な事が書かかれています。    その中で、印象に残った事をいくつかあげます。  一つは、日本のNGOについてです。伊勢崎さんは、援助国の貧困は「商品」で、NGOはその「商品」を支援者に広報し、募金により資金を得る『中間業者』であるといいます。そして、寄付文化のない日本のNGOが海外で活動するには、資金徴収力のある国際NGOとは比較にならないので、アイディア勝負で、一つの“ベンチャー起業”として考えた方が良いといっています。  確かに、考え方はどうあれ、その国の人と協力し、結果、成功さえすれば、その国の人の為になる。    次には「アフリカ人の命は軽いとうい現実」という話です。 1994年、ルワンダ内戦で起きた大虐殺。たった100日間でおよそ80~100万人が殺されたという事実も衝撃ですが、ここではなぜ、国連がこの内戦に介入しなかったのか、その理由が書かれています。  その一つは、虐殺の数ヶ月前に近隣国ソマリアの内戦で、自国の兵士をなぶり殺しにされたアメリカが介入を拒んだことです。また、他の常任理事国もルワンダには資源もなく、介入するメリットがないとみて、要請を受け入れなかったとの事です。  この他にもアフリカでは数十万人規模の犠牲者が出ないと、国際社会が動かないと書かれています。  よく、アフリカでは数秒に一人の子どもが餓えや病気で死んでいるという話を聞きますが、確かに、先進国で生活している限り、普段、人の命の重さに違いがあることなんて感じる事はありません。  日本は裕福だとか、日本に生まれてよかったとか、そういう事では片付かない現実が世界にはあるとつくづく思います。  そして最後に、ODAなどの政府援助の話。  これも様々な問題について書かれています。例えば、アフリカ諸国へのODAは、度々、国連の常任理事国入りの為の『ワイロ』の様に拠出されているという事です。しかし、アフリカ諸国は援助慣れしているので、先進諸国の援助を比べ、いかにうまく利益にし、個人や自分の勢力の政治力の増強につなげるかという事だけを考えているのです。  この様な取引により、一部の政治家や時の政権に「借り」をつくることになり、例えば、その国で国際的な人権侵害問題などが起きても批判できにくくなるという事です。  また、日本の「ODA大綱」には軍事費への使用の回避や大量破壊兵器などの開発に注意する様、明記されているにも関わらず、インドネシアやスリランカへ援助し、結果、両国の軍備の増強を手伝っているという事実も書かれています。  そして、過去の政策なき有償援助についてもふれ、その融資基準の一貫性の無さから、有償援助自体の全面凍結を訴えています。    この本は、正直、誰もが思う、『国際貢献』って言葉自体ちょっと“胡散臭い”部分があるとか、国際社会における日本の“浅はかさ”とか、その他、普通の人が知らない様な国際社会の『常識』など、その辺を暴露本的にバッサリ切っています。  興味のある方は是非読んでみてください。 内戦の交渉もするなんて・・・ アフガニスタンで内戦の停戦交渉もしたなんて・・・

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