平成28年11月9日
区民環境委員会行政視察 仙台市
2.インバウンド推進施策について
仙台市は今年度より、組織改正を行い、それまで経済局が担当してきた観光部門と、市民局が担当してきた国際交流・文化スポーツ部門を一元化し文化観光局を設置した。 これにより、それぞれの分野の連携が図られ、仙台市の魅力向上、交流人口の拡大とともに、東北各都市との連携事業による東北地域の交流人口の拡大を目指した取り組みが可能となった。 今回の視察目的であるインバウンド施策も、その観光局の観光交流部誘客戦略推進課が担っている。
仙台市がインバウンド施策に力を入れる背景には、世界的に観光産業が成長している中で、日本への訪日外国人観光客が平成27年度には1973万人となり、今年はすでに2000万人を突破している現状がある。国はさらに2020年までに倍の4000万人目標を掲げており、仙台市も昨年11万5千人であった外国人宿泊者数を、2018年(平成30年)までに15万9千人への同水準の増加を目指している。 また、東北地方の現状として、東日本大震災で減少した訪日観光客数は回復してきたものの、アジア全体を見た場合においての東北の認知度は10.4%、インバウンドシェアは0.9%と低く、これを広げることも重要であると考えている。
仙台市の取り組みとしては、平成26年に経済成長デザインを策定し、観光分野における仙台市がめざす将来像を掲げた。それが、「市民が愛着をもって世界に誇れる観光都市、」である。 具体的な数値として平成29年までに年間観光客数2300万人とし、下記の3つの柱を設定した。 仙台市経済成長デザインにおける観光分野の3つの柱 ・国内観光の誘客 ・海外からの誘客(インバウンド)平成29年までに外国人宿泊者数98,210人以上 ・コンベンションの誘致 平成30年に年間250嫌悪国際会議開催!
この3つの柱のうち、訪日外客誘致に係るものの取り組みとして仙台市が行っているものは、大きく分けて2つある。
一つは、海外への誘致プロモーションである。仙台空港への定期便のある中国、台湾、韓国の東アジアと次に定期便の就航が見込まれるタイからの観光客に対応した多言語化観光ウェブサイトや、英語、タイ語のフェイスブックの運営。また、中国版ツイッター、ウェイボーの運営を行っている他、新しい取り組みとして、FIT(個人旅行)客の増加に対応するためウェブのスマートフォン対応や、フェイスブックなどSNSに台湾向けに簡体字を追加し、ネット上での情報発信強化を行っている。 さらに、現地プロモーションとして、タイ、台湾、中国等の旅行博に出展するとともに、現地代理店への具体的な観光情報提供を行い、旅行商品の造成を行うとともに、現地のパワーブロガーや、テレビ番組、旅行雑誌を招聘し、仙台・東北の発信につなげている。 これらの情報発信として仙台市だけではなく、東北各県などと連携し各都市のお祭りなど、広域的なプロモーションを行っていることも特徴として上げられる。
二つ目は外国人観光客の受け入れ環境づくりである。前述の多言語化ウェブサイトなどに加え、指さし方式で接客ができる飲食店などへの多言語化メニューの作成支援をしていることに加え、多言語観光案内サインの整備や事業向けの外国人おもてなしセミナーも実施している。 さらに、外国人観光客の不満の上位となっているWi‐Fi環境の整備として、市内観光周遊バスの車内や停留所、また地下鉄や観光案内所での整備と民間事業者のフリーWi-Fiカードの配布を始めた。
これらのインバウンド施策に加え、多くの外国人の来訪が期待されるのは、3つの柱の一つのコンベンションの誘致である。仙台市では平成27年3月に東日本大震災の経験から、震災、防災をテーマにした世界防災閣僚会議を開催した。これには185ヵ国から、6500人が来訪し、この年の外国人宿泊客は前年の4000人から1万7000人に増加した。 また、今年5月には、きよ水・作並温泉地域の秋保地区でG7仙台、財務大臣・中央銀行総裁会議も開催された。 さらに東北大学と「コンベンション誘致に関する協定」をむすんで、学会などの積極的な誘致をおこなっているということである。
仙台市は先の仙台市経済成長デザインで掲げた「平成29年までに外国人宿泊者数98,210人以上」という外国人宿泊者数の目標を、昨年度すでに達成したことで、今後策定する仙台市インバウンド観光復興対策計画には、「平成30年に15万9000人」「外国人旅行消費額6億7000万円」という目標を設定するという。 それに向けた具体的な取り組みとして、今年度、国の東北観光復興対策交付金を活用し、SNSの書き込みや携帯電話位置情報から外国人観光客の動態をみるなど観光復興促進調査を行なっている。 また、プロモーション活動としては、ドラマなどのロケ地の紹介の充実や台湾の台南市との仙台市総合交流協定を生かした現地旅行会社への招請、加えて、仙台空港民営化に合わせた新規就航エアラインと連携したプロモーションと展開してゆくとうことである。 外国人観光客の受け入れ整備としては、空港や駅で荷物を預けて、手ぶらで観光に出られる「手ぶらで観光便」や、仙台地域のJR線、地下鉄、バスに乗れる「仙台まるごとパス」など、日本人観光客にはすでになじみのあるサービスの周知と向上を進めてゆくことである。

