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区民環境委員会行政視察報告③ 山形市 老朽危険空き家対策事業について

平成28年11月10日

区民環境委員会行政視察 山形市

 

1.老朽危険空き家対策事業

 

 山形市の一戸建て住宅の空き家は、平成25年度の総務省の住宅・土地統計調査結果によると3530軒で、平成20年から約500軒増加し、現在も一日に5件から6件の空き家に関する相談があるという。
 しかし、平成28年11月7日現在、山形市が把握している一戸建ての空き家は399軒で、実際には10倍近くあると予想される。
この399軒のうち、危険な空き家、いわゆる「特定空家」は222軒あり、特に危険な空き家「危険度Ⅱ」と判定されたものは61軒、27%である。
 ちなみに渋谷区が把握する一戸建ての空き家の数もこれまで100軒弱で推移しておいり、実質的にはかなりの数があると予想される。
 山形市などの地方と都市の空き家の特徴としてあげられたのは、観光地などのホテルがそのまま空き家になっているということだ。これらの空き家が適正に管理されない理由は、建築基準法や道路法による、いわゆる既存不適格建築物のため建替えが進まないものや、固定資産税が障害となっている問題がある。山形市はこれらの空き家のうち、特に危険な空き家については所有者に修繕、解体の指導をしてきたが、解体費用の捻出や相続についての土地、建築物の所有権が複雑なケースなどが多く、こういった状況は渋谷区も同様の問題を抱えている。
 しかしながら、老朽化空き家を放置することは、防災面、衛生面からも安全な生活を維持できないことから、山形市は昨年施行された国の「空家等対策の推進に関する特措置法」(空家対策特別措置法)に先立って、一定の条件を満たすことで上限50万円の空き家除却費用を市が補助する、老朽危険空き家対策事業を始めている。
事業のおおまかな流れと、補助金の額は下記の通りだ。

 

《事業の流れ》
1.所有者や市民から、地域にある老朽危険空き家の除法を受け付ける
2.情報を基に、市が空き家の危険度や周辺の状況などを調査
3.所有者に解体の意志や、土地・建物を市に寄附できるかなどの意向を確認
《NOの場合》
所有者などに適正な自己管理を指導
《YESの場合》
除却後の土地の管理などを地元と協議→④へ
4.建物の解体を正式に決定し、所有者や地元住民に通知
5.解体工事開始
6.整備した公共空間を、地元住民で維持管理

 

補助金の額
(1)補助対象経費※の2分の1
※国が定める計算式に基づく除却工事費(解体、運搬、処分)の80%
(2)50万円
このいずれか少ないほうの額

 

 この事業に申し込むための要件として、まず、その空き家が、住宅が立ち並ぶ場所にあり、長期間使用されず周辺に危険を及ぼしている、またはその可能性のあることや、対象の空き家の土地、建物が山形市に寄附または無償譲渡されるということ。また、整備した土地は公共空間として地元住民が日常的に管理すること。さらに空き家の所有者が市税を完納しているということが求められる。

 

 この事業の課題として、危険空き家の件数に伴わず、この事業の実績が平成25年の一件のみであるということである。
これは、前述の補助金額上限50万円以外は、所有者などが負担することや、条件の中にある、土地、建物の寄附または無償譲渡とすること、さらに整備した公共空間を地域住民で管理するということなどがネックとなりこの事業が利用されにくいということだ。
しかしながら、空家対策特別措置法により、特定空家に対する自治体の強制力が強まる一方で、除却費用の負担は大きな問題となる。単なる補助事業ではないかたちの山形市の事業は、渋谷区においても参考にできるものであると考える。